国連JPO後の生き残り3 | JPO派遣後にやるべきこと

      2020/01/13

前回のおさらい

国連JPO後にどうやって生き残っていくかについて、今回で第3弾です。最初に前回のおさらいをしておきましょう。前回は、JPO後の生き残りの可能性を高めるため、応募時点でやっておくべきことについて書きました。具体的には、

  • 派遣希望先機関のリサーチを徹底的にやる
  • 内部からの情報を得る
  • 派遣希望先機関の空席広告をチェックする
  • セクター全体の現状を把握する

ということについて書きました。詳しくはこちらからどうぞ。

このポストでは、JPOに無事合格し、派遣された後の時間をどう戦略的に使うかについてなので、どちらかというと現役JPOの方向けかもしれません。今回は若干観念的なアドバイスもあり、全てが実用的とはいかないかもしれませんが、ご容赦ください。

JPOとして派遣された後にやるべきこと

周囲の信頼を得る

派遣されてからまず何よりも重要なのは、上司、同僚、そして事務所・ユニットの長からの信頼を得ることです。当たり前と思われるかもしれませんが、意外とできてない人もいて、これがないとJPO後に国際機関に残るのは夢物語となってしまうと思います。自分も経験して、これは結構JPOあるあるだと思いますが、よくあるのが派遣直後は放置プレーとなることです。これはJPOがタダの労働力であり、受け入れ事務所・ユニットとして任せる仕事を決めきれていないことが多いことから発生します。

派遣直後で、念願の国連職員になったという高揚感があり、またやる気も高いときにこれをやられるのは正直かなり痛いのですが、ここは我慢の見せ所です。数週間で本格的な業務を任せられるようになることもありますが、もし数ヶ月放置プレーが続くようであれば、こちらから積極的に上司に掛け合いましょう。任せられた仕事でとにかく高いアウトプットを出すことで信頼を得ることができ、その後いろいろな仕事を任せられるようになります。あまりちゃんと指導してくれない上司にあたっても、自分が上司をマネージするぐらいの気概を持ち、腐らずに自分にできること考えて貢献していくことが大事です。

仕事は自分で作る気概を持つ

上記に関連しますが、仕事は自分で作るものという気概を持つことも重要です。日本政府のJPOということで、日本政府からの資金を取ってくることなども期待されることがあり、これは見方によってはその事務所内で自分にしかできない仕事ですので、張り切ってやりましょう。そのためにも派遣先の国の日本大使館とのパイプを作っておくことも大切です。特に日本政府の補正予算を使って比較的大きな資金のプロジェクトを作れる可能性があるので、普段から外務省のODAの重点分野を抑えておいたり、現地の大使館やJICAの職員から情報を得られるようにしておくと良いと思います。

日本政府からの拠出で実施した防災プロジェクト

様々な取り組みに積極的に参加する

これは必ずしもどの事務所でもあるわけではないと思いますが、代表や副代表によっては、事務所独自の取り組みをやることがあります。例えば私がいた事務所の代表は開発分野のイノベーションに興味を持っており、事務所独自のイノベーション・チームを創設していました。これは資金がない完全なボランタリーなグループだったのですが、そこから発展して新規プロジェクトにおいて何か新しい試みができないかなどを提案していった結果、アイデアが採用されて少額ですが資金がついたので、クラウンドファンディングをやったり、伝統的なものとは一味違う啓発運動をやったりといろいろなことに挑戦することができました。上記とも関連しますが、これも自分で仕事を作り出す一つの方法なので、時間を許す限り、こういう取り組みに積極的に参加していくと良いと思います。

JPO独自の制度を最大限に活用する1 | メンタープログラム

JPOは手厚い指導とサポート体制が約束されているとTORなどでも謳われていますが、これはどうしても配属先によっていろいろなケースが出てきます。もし自分の上司が忙しすぎて、とても面倒を見てくれるようではないということがわかったら、無い袖は振れないと割り切って、他にメンターになってくれそうな人を見つけたり、JPOのメンタープログラムで遠隔でもいいのでいろいろアドバイスをくれる人を見つけるといいでしょう。私もこれで先輩職員のメンターを見つけ、ネットワーキングの方法や、後述する実地研修先の相談などに乗ってもらい、とても役に立ちました。

JPO独自の制度を最大限に活用する2 | Induction Courseでネットワーキング

これは特に国事務所・地域事務所に派遣されたJPOへ言えることですが、新たに着任したJPO向けに定期的にNYで開催される、Programme, Policies and Operations (PPO) Induction Courseという2週間のワークショップがあり、これは普段からHQにいないJPOにとっては最適なネットワーキングの機会なので、事前にアポを取ってできるだけ多くの人と会うようにしましょう。なんだかんだでやっぱりHQの人に顔を覚えてもらうことは重要です。自分はネットワーキングがあまり得意ではないのですが、事前にコソボ事務所に代表と副代表に相談し、会っておくべき人のリストを作って頑張ってアポを取りました。基本的に皆さん快くアポを受けてくれます。あと日本関連だと、国連代表部の方々、外務省とJICAからそれぞれUNDPのHQに出向している人、そして直近までJPOやってて正規職員ポストを取れた日本人職員の先輩などにも会いました。あと2週間でいろいろな人がプレゼンしてくれるので、その中で興味ある仕事している人がいたら個別に会って話を聞いておきましょう。

JPO独自の制度を最大限に活用する3 | 研修予算を有効活用

JPOはDTTA (Duty-related Travel and Training Allocation) という研修予算をもらえます。これは通常の国連職員にはないので、まさにJPOの特権です。どの政府によって支援されているJPOかによって予算額は変わってきますが、日本政府は年間3000ドルサポートしてくれます。この研修予算を最大限に有効活用しましょう。オンラインや対面式のコースを取って自分の専門分野の研鑽を深めるのもいいですが、おすすめはこの予算を使って実施研修(UNDPではDetailed Assignment、他でのStretch Assignmentなどと呼ばれます)に挑戦することです。国事務所で働いているのであれば、地域事務所や本部で、また逆に地域事務所や本部で働いている人は国事務所での経験を得ることで、視野と経験、そしてコネクションが広がります。そこから3年目以降の職員採用へ繋げること可能性も出てきますので。 あと定期的に開催されるJPO向けのワークショップがあって、これも有益な情報を得ることができるのと、ネットワーキングの機会となるので、これに参加するためにDTTAを使うのもアリです。なお、この予算で出張させようとする上司が時々いますが、その出張で参加するワークショップなどが自分のキャリア構築の上でとても重要でない限り、出張に使うのはお勧めしません。ちなみに上述したPPOへの参加費は別の予算でカバーされるので、DTTAを使う必要はありません。

2016年にバンコクで行われたJPOワークショップ

早い段階で空席へ応募し始める

空席広告を頻繁にチェックし、自分の経験とスキルに合致する空席があればドンドン応募しましょう。JPOとして着任してから1年は同じ機関の空席には応募できない、みたいなルールがあったと思いますが、これは内部候補者として応募できないだけであって、内部候補者のみ向けのポスト出ない限り外部候補者としてであれば応募できますので、積極的に応募していくことをお勧めします。また、自分が派遣されている機関以外でも、経験とバックグラウンドにマッチするポストであれば応募を検討してもいいと思います。これは外務省との関係においても重要で、いかに自分が積極的に空席に応募し、国連に残るために努力をしているかを記録として残しておくのがベターです。3年目更新の可能性やその後日本政府関連のポストに就けるかどうかはこういった日常の努力を見られますので。

結論:与えられた環境で創意工夫を凝らしベストを尽くす

少し話が逸れますが、自分の尊敬する人にラグビー選手で元日本代表の主将を務めた廣瀬俊朗さんがいます。彼は中学、高校、大学、社会人、そして日本代表と、所属したすべてのチームでキャプテンを務めてきた根っからのリーダーなわけですが、中学と高校は公立で、決してラグビーの強豪校に所属していたわけではなかったようです。しかし彼は、そういった環境であったからこそ、常にどうしたらチームを強くできるかを自分で考えて行動してきたそうです。彼は自身の著書「なんのために勝つのか。」の中でこう書きます。「与えられた環境の中で考え続け工夫することは、ラグビーをする上でも人生でも必ず役に立つのではないだろうか」「自分がよりいきるために自分の強みは何かを常に考え続け、創意工夫を欠かさない。それが自分がステップアップする近道だと思っている」。

自分も全く同感です。JPOの赴任先は、希望は出せるとはいえ、その通りになるとは限りませんし、希望がかなったとしても上司がどのような人物かはわかりません。与えられた環境でどうすれば自分が成長できるか、自分の強みを活かしてオフィスに役に立てるか、そして自分の将来に繋げられるかを必死に考え、創意工夫しながら努力を重ね続けていくことで必ず次に繋がると思います。

とりあえずこのあたりを押さえていけば、充実したJPO生活を送るりつつ、JPO後の進路を開いていける可能性が高まると思います。新米JPOの方々、頑張ってください。

追記(2020年1月13日):環境を変えることも可能

ツイッターでAoyagiさんにご指摘していたいただいた通り、環境を変える、即ち所属ユニット・事務所、そして場合によっては機関を変えることが可能です。

ご指摘のとおりで、JPO中の異動は可能なので、それも視野に入れてJPOをやっていくのがベストです。私の場合も、代表・副代表以外すべてがローカルの事務所で、ここで残るのはまず不可能と思ったので異動も検討しましたが、当時は外務省からの感触があまりよくなく、コソボで頑張ることを決めました。しかし最近はもっと異動に対しての理解が深まっているようなので、巡り合わせが悪ければ環境を変えるのは第一に考えることと言って良いと思います。

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