国連JPO後の生き残り1 | JPO応募前の心構え

      2020/01/11

なぜ最初にこの話か

まだJPOにもなっていないのに、なぜ最初にどうやって生き残っていくかの話をするかというと、入る時点で生き残れるか可能性をなるべく高める必要があるからです。国連機関といっても多種多様で、それぞれの機関で予算規模から採用に至るまでの過程なども違ってきます。いきなりお金の話で恐縮ですが、特に予算は重要な点です。なぜなら、 JPOは2年乃至3年の派遣を経て、正規職員として国連機関・またはその他の国際機関に残ることが求められ、そのためには派遣された機関が引き続き雇用を続けられるための予算を持っていなければなりません。昔は、コストが日本政府と派遣先機関との折半となるJPO3年目を、派遣された事務所でやり、それ以降も同事務所または派遣された機関の別の部署で残ることが多かったようですが、国連機関の財政状況が厳しい昨今、実はこれが非常に狭き門となっているのが現状です。

国連機関の財政状況

しかし財政状況が厳しいというのは若干語弊があるかもしれません。例えば私が働いていたUNDPですが、こちらの資料によると、10年前の2009 年の予算が52億ドルで、2018年も同額の52億ドルとなっています。ではなぜ財政状況が厳しくなったのでしょうか。答えは、UNDPが自分の裁量で使える所謂「コア予算(英語ではregular resourcesとも呼ばれる)」が減っているからです。国連機関は加盟国政府の拠出金によって運営されていますが、拠出金には二種類あってて、ドナー政府が様々な条件(特定の分野、国・地域、プロジェクトなど)を付けるノンコア予算、そしてそういった「紐づけ」の制約がないコア予算です。先ほどの資料の9ページ(PDF上のページではp.5)にある以下の棒グラフを見てみましょう。

UNDPの予算推移
出典:UNDP Funding Compendium 2018, p. 9

こう見ると一目瞭然ですが、黄色のコア予算は2009年が10億ドルでしたが、この10年で6億ドルまで減っており、衝撃の40%減です。コア予算が減った分、紺色のノンコア予算が増えて、総予算はトントンになるわけです。

なぜコア予算が重要か

コア予算はスタッフに使える予算に直結するからです。したがってコア予算が減れば、新しい正規ポストが作れなくなるばかりか、これまであったポストの維持も難しくなるわけです。実際にUNDPでは、2014~2015年ごろにかけて本部のポストが30%減らされました(地域事務所などへのポスト移転及びポスト自体の削減)。本部のあるNYは給料が高いからからです。さらにこの波は地域事務所と国事務所にも波及し、私が所属していたコソボ事務所でもリストラが行われました。さらに悪いことに、以前はノンコア予算でも、国事務所でドナーから独自に獲得していた予算から得るフィーの一部はその事務所のトップの裁量で使えていたのですが、これもコア予算の減少に伴いすべて地域事務所と本部へ吸い上げられることになってしまいました。以前はこの予算がJPOの3年目のコスト折半に使われていたりしたようですが、これも今やお伽話で、昔は良かったねぇ、という文脈で話されるような事例となってしまっています。

新たな環境に適応することが求められている

ただ、ノンコアは増えているので、それに合わせて、プロジェクトに従事するスタッフのポストは増えます。しかしこういったポストはそのプロジェクトが終われば自動的に契約終了となるため、仕事の安定という面では厳しいし、さらにはプロジェクト・ポストもローカル採用が増えており、インターナショナルスタッフの採用は稀となっているのが現状です。しかし、日本政府が資金を出しやるプロジェクトなどですと、レポーティングの関係で日本語ができるほうが望ましい、などの条件をTORに付けることが多く、こういったポストを3年目及びそれ以降で狙っていくというのがJPO3年目、そしてJPO後に残るための一つの道となっています。国連をめぐる予算の関係で、JPOも新しいノームに適応していく必要がでてきています

結論:どの組織に派遣されるかは非常に重要

すこし話が脱線しましたが、まず何が言いたいかというと、JPO後に同じ組織、特に同じ所属部署や事務所で残ることはとても厳しくなっている、ということです。

ましてやコア予算によって賄われる正規ポスト(コア・スタッフと呼ばれたりします)で残れる可能性はよほどの強運をもっていないと難しいでしょう。ちょうど自分の経験・スキル、そしてグレード(主にP3)に合致するポストの人の仕事を辞めるタイミングが、自分のJPO終わるタイミングを被るような出来事に巡り合えれば可能性はありますが、これは非常に稀と言ってよいでしょう。ただ一部の機関ではまだJPOが残れる可能性もあるので、そういった意味で、どの機関に派遣されるかは、自分がJPO後に生き残れるかと直結するため、非常に重要になってくるわけです。長くなってきましたので、ではどういう戦略を立ててJPOに臨むべきなのかを次回のポストで書いていこうと思います。

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