閑話休題:英語の勉強
2022/01/24
留学するにせよ、国際的な仕事をするにせよ、日本人にとって重要なのが英語力となります。英語力というのは、単に発音がネイティブに近いとか、スラングを知っているとかだけでなく、英語で自由自在にコミュニケーションをとり、英語で文章を書き、英語でプレゼンができるということです。
自分は英語で仕事をするようになってもう8年ぐらいになります。自分の英語力がどの程度なのか正直よくわかりませんが、何年か前に受けたTOEICは満点(990/990点)、JPO受験の時に受けたTOEFL iBTの最高点は112/120点でした(ReadingとListeningは満点)。英検は高校時代に2級までとりましたが、IELTSなど他の英語の試験は受けたことありません。
自分は大学からの留学を目指していたので、高校時代は英語の勉強にかなり力を入れていました。その高校時代の勉強と、大学と大学院を通じて得た知識をもとに、英語の勉強についてちょっと書いてみようと思います。
目次
高校時代:英語の基礎能力
高校時代は留学のためにTOEFLの点数を上げることが一番重要だったので、TOEFL対策がメインでした。結構いろんな教材に手を出しがちだったのですが、最終的に落ち着いたのがDUO2.0。その頃からもう20年経つので、最新版はDUO3.0ですね笑。これをひたすら何度も読んで、載っている単語、熟語を覚えました。あとこの教材には基礎用と復習用のCDもあって、基礎用は「見出し英文和訳→見出し英文(スロースピード)→見出し語→最後にもう一度見出し英文(ナチュラルスピード)」、復習用は見出し英文をナチュラルスピードで聞けます。復習用は60分で一冊分聞けるので、自分はこれを毎日一回は聞くようにしていました。地味な作業となりますが、やはり語学の学習はいかに継続してできるかが非常に重要です。毎日コツコツと努力することが上達への近道。自分は当時寮生活をしていたのですが、掃除の時間などにもMDプレイヤー(MP3登場前です笑)で聞いていた記憶があります。これはスキマ時間でもできる学習方法なので、通勤やちょっとした合間の時間に英語を聞く習慣を身につければ、それがリスニング能力の向上につながっていくと思います。
留学するために必要だったスコアはTOEFL CBTの213点で、これはPBTだと550点、今のiBT換算だと80点程度ということですが、最終的に223点ぐらい取れたと記憶しています。このDUOをとことんやり込む勉強法はTOEFL対策のみならず、単語やイディオムを覚えたり、リスニング能力を上げることにもつながり、英語の基礎的な力がついた気がします。
大学時代:英語を学ぶから英語「で」学ぶへ
しかし大学に入ってみると苦労の連続でした。DUOを聴き込んでたおかげか、聞くのは結構ついていけましたが、話すのと書くのは全くだめでした。アメリカの大学だったので、成績の一部が授業中の発言で決まるのですが、ほぼ何も言えない授業も最初のうちは結構あって、正直最初は辛かったですね。ただ四六時中英語の生活なので自然とスピーキングは上達し、ライティングも経験を積んで徐々にできるようになりました。ただ学部時代の成績は本当に中の上ぐらいで、平凡なものだったと思います。
ここで重要だったと感じるのが、英語を学ぶことから英語「で」学ぶことに移行した点です。英語で読み、英語で考え、英語で書き、英語で発表するという環境で4年間を過ごせたことが大きかったと思います。これは完全に個人の感想ですが、大学時代というおそらく人生の中で一番勉強に没頭できる4年間をこのような環境で過ごせるかどうかというのは重要な気がします。どうしても働き始めると大学時代のように勉強に割ける時間は多くなくなってしまうことが多いからです。
大学院時代:伸び盛り
そして大学卒業後そのままストレートに大学院に進むわけですが、今振り返ってみると、このときが一番英語力の伸びを感じられたような気がします。大学時代の積み重ねに加えて、より具体的なアドバイスを色々得ることができたのが大きかったです。
ライティング
アカデミック・ライティングに関して、当時の大学院の先生が以下のようなWriting tipsを教えてくれて、これが今でも役に立ってると感じています。具体的には、
- 受動態を避ける。受動態、いわゆるPassive voiceですが、これは誰の発言かをボヤかしたいときなどには便利な表現ですが、主語がわからないので、誰が言ってるいることなのかわからないですし、論理的に文章を書くことが求められる場面ではマイナス要素しかありません。アカデミック・ライティングにおいては、あえて使う場面以外では徹底的に避けたほうがいいと思います。蛇足ですが、英語圏の小さい子が何かを壊した時、自分が壊したということを明示しないために、「I broke something」ではなく、「something got broken」という表現を無意識に使うそうです笑。
- be動詞を避ける。受動態ほど悪くないですが、be動詞も代替できるのであれば可能な限り避けるのが無難です。何を言いたいのかが明確であれば、それを表現できる動詞を使うべきです。例えば、「An ecosystem could be threatened by human activities」という文章ですが、これは「An ecosystem could confront human threates」と書き換えられます(これにより受動態も避けられてますね)。
- 前置詞もなるべく減らす。前置詞(in, to, from, withinなど)もあまり数が多いと文章が冗長な印象となります。例えば、「This system is developed by XYZ for countries with limited resources」という文章なら、「XYZ developed this system for countries facing resource scarcity」と書き換えられます(この修正文も受動態、be動詞、前置詞すべて減らせています)。
駄目な例文とその修正版の具体例を実際に大学院の教授が教えてくれてたので、それを紹介しましょう。
駄文:Given limited resources, the decision of which ecosystems to protect is also addressed by Robert Buddemeier (2016) with the concept of a triage approach.(受動態は下線、be動詞はイタリック、前置詞は太字で強調)
上記の3点を念頭にこの文章を書き換えると以下のようになります。
修正版:Given limited resources, planners cannot protect everything and must choose priority areas. Robert Buddemeier's (2016) "triage approach" represents a recent and promising prioritization strategy.
如何でしょう、2つ目の文章のほうが何が言いたいか明確に感じませんか?やはり意識したいのは主語かなと思います。1つ目だと主語が、the decisionとなっていて、誰のdecision?、誰が話してるの?って感じるのに対して、2つ目はPlannersとRobert Buddemeierとなっており、ここで明確な文章となるか否かの差が明確に生まれているような気がします。
今まで働いてきた中で、メールの文章が簡潔でわかりやすくて非常に良いと3回ぐらい褒められたことがあります。これはこうしたコツをしっかり踏まえて文章を書いているからだと思います。なお、仕事のメールを英文で書くということは、そこで結構仕事ができるかできないか判断されているということなので、内部の同僚向けだとしてもちゃんとした文章を書くことを心がけたほうがいいと思います。ちゃんと見てる人がいるので。逆にそうやって評価を上げることも可能ということ。
プレゼン
またプレゼンに関しても、同じ大学院の教授が以下のようなコツも教えてくれました。
- 最初のつかみ超重要。適切な引用を使うなりして、聴衆を惹き込まなければいけない。
- 話しているときに緊張するとついPodiumの後ろに隠れがちになりますが、あえてそこを離れて歩きながら話すと変化があって良い。
- スライドには完全な文章は載せない。あまりゴチャゴチャしたスライドは見にくいだけでなく、聴衆の関心も奪ってしまうので、文字を載せるなら重要となるキーワードのみ。できれば写真やグラフなどいわゆるVisual aidを使う。
- 最後のスライドはQ&AやAny questions?とせず、「What questions do you have?」とし、質問がある前提で話を進めると聴衆も質問しやすくなる。
この大学院を卒業してもう11年ですが、今でもこうしたアドバイスをしっかり覚えているということが、これらが自分の人生の役に立ってきた証左かなと思います。
終わりに
少々長くなりましたが、自分の中での英語学習のポイントとしては、
- 英語の勉強はコツコツと継続してやること
- 勉強方法はいろいろとありますが、自分は一つの単語帳を徹底的にやり込むことで伸びたこと
- そして大学時代から英語「で」勉強したこと
- 具体的なアドバイスをもらってそれを活用していること
これらの点が重要だったと感じます。
この記事が誰かの何らかの参考になれば幸いです。